Research

研究について

フェムトリットルリアクタのもう一つの利用法として人工細胞への応用を考えています。
例えば、無細胞遺伝子発現系(転写ー翻訳系)をリアクタに搭載させると、1分子のDNAから定量的にタンパク質合成できることを確認しています。
現在、その工学的利用の一つとして酵素エンジニアリングを考えています。すなわち、酵素遺伝子全体もしくは狙った領域に無作為の遺伝子変異を導入します。そのようなDNAが混ざった溶液(DNAライブラリ)をリアクタに1分子単位で封入し酵素タンパク質の合成を行います。酵素反応を可視化する蛍光プローブを入れておけば、その蛍光強度から優れた酵素をコードしたDNAを探し出すことができます。既に、天然酵素よりはるかに性能の良い酵素を開発することに成功しています。

このプロジェクトの最終目標は自律的に増殖できる人工細胞の創出です。
現在、人為的に設計・合成した人工ゲノムを作成する技術が確立しつつあります[1]。しかし、そのゲノムで細胞がどの程度の自律性を保ち、自己増殖する能力があるのかをテストする手段が殆どありません。
私たちは、合成ゲノムの機能を評価する物理シミュレータとして人工細胞リアクタの開発に取り組んでいます。そのために、ATP合成研究で開発したALBiCシステムを利用した系の開発に取り組んでいます。 1. C.A. Hutchison, et al., 2016 Science 351, aad6253

野地研究室 Single Molecule Biophysics Noji Laboratory